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問題

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レベル1

STEP6

古文

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問題

次の文章を読んで、後の問いに答えよ。

ある法師、道を行きける所に、ぬすびと一人行きむかつて、かの僧を頼みけるは、見奉れば、やんごとなき御出家なり。我ならびなき悪人なれば、願はくは、御祈りをもつて我が悪心をひるがへし、善人となりさうらふやうに(注1)せいたまへかし」と申しければ、それこそ我が身にいとやすき事なれ」と(注2)りやうじやうAられぬ。かの盗人も返す返す頼みて、そこを去りぬ。

その後、はるかに程経て、かの僧と盗人と行きあひけり。盗人、僧のそでをひかへて、怒つて申しけるは、我御辺を頼むといへども、そのなし。祈誓し給はずや」と申しければ、僧答へていはく、我その日よりへんのいとまもなく、御辺の事をこそ祈り候へ」とのたまへば、盗人申しけるは、おことは出家の身として、そらごとをのたまふものかな。その日より悪念のみこそ起こり候へ」と申しければ、僧のはかりことに、にはかにのど渇きてせんかたなし」とのたまへば、盗人申しけるは、これに井戸のはべるぞや。我上より縄を付けて、その底へ入れ奉るべし。飽くまで水飲み給ひて、上がりBたくおぼしめし候はば、引き上げ奉らC」と契約して、くだんの井戸へおし入れけり。

かの僧、水を飲んで、上げ給へ」とのたまふ時、盗人力をだしてえいや」と引けども、いささかも上がらず。いかなれば」とて、さしうつぶして見れば、何しかは上がるべき、かの僧、そばなる石にしがみつきてをる程に、盗人怒つて申しけるは、さても御辺は愚かなる人かな。その儀にては、いかがとうもしるしあるべきや。その石はなし給へ。やすく引き上げ奉らん」といふ。

僧、盗人に申しけるは、さればこそ、我御辺の祈念をいたすも、くのごとく候ふぞよ。いかに祈りをなすといへども、まづ御身の悪念の石を離れ給はず候ふ程に、くろがねの縄にて引き上ぐる程の祈りをすればとて、かねの縄は切るるとも、御辺のごとく強き悪念は、善人になりがたう候ふ」と申されければ、盗人うちうなづいて、かの僧を引き上げ奉り、足もとにひれして、げにもかな」とて、それより(注3)もとゆひ切り、すなはち僧の弟子となりて、やんごとなき善人とぞなりDける。

ものがたり』による)
注) 1祈誓 ── 神仏に祈り誓うこと。 2領掌 ── 同意し承諾すること。 3元結 ── 髪をたばねて結ったもの(もとどり)を結ぶ糸やひも。
問一
4
波線部ADの助動詞の文法的意味と活用形の説明として誤っているものを、次のうちから一つ選び、符号で答えよ。
  • Aは受身の意味を表すらる」の未然形
  • Bは希望の意味を表すたし」の連用形
  • Cは意志の意味を表すむ」の終止形
  • Dは完了の意味を表すぬ」の連用形
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