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問題

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中断

レベル2

STEP6

古文

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  • 記述

問題

古文
次の文章は、ごろも』の一節である。ひょう卿きょうのみやは、山里に寂しく暮らす姫君と恋愛関係にあったが、両親によって、関白大殿)の姫君と強引に結婚させられてしまう。以下は、兵部卿宮が関白邸を訪れ姫君との初めての夜を明かした直後の場面である。これを読んで、後の問いに答えよ。

(注1)姫君も、いはけなきほどならねば、あざやかに、盛りの花と見えたまふ。あながち心ざしあるまじきにはあらねども、うちつけにふと移らん心はせず、(注2)かの寂しきのきにながむらん有り様は、心にかかるにも、(注3)近き仲のあはれはこよなく忍ぶ所まさるにや、涙もこぼれ、寝るまくられぬるぞ、人はいかが思ふと、心づくろひもいつまでかは、とおぼさるるほどに、夏の夜なればほどなく明けぬれば、いそぎで給ふを、いかならむと、(注4)人々思ひあへり。

(注5)行かぬにしるかりし気色のらうたげさは、まづおぼしめし出でらるれば、御すずり召し寄せて、文書かせ給ふを、御前の人々、けしうはあらぬなめり、と思ふに、この山里の文なりけり。筆持ちやすらひて、とばかりながめ給ひつる気色、あはれなり。

兵部卿宮)心にもあらずへだつる(注6)小夜衣かさねしそでのかわくまぞなき

と、さまざま書き給へる水茎の跡、(注7)見給ふところには、いとど涙流れ添ふ心地して、

山里の姫君)小夜衣うつればかはるならひとてうき身にしらる袖の涙を

とばかり、例よりもことば少なく書きたるを、かくと聞きけるにや、と思ふにも、いかばかり、我を、憂し、つらし、と思ふらんと、かなしさもせんかたなければ、また立ち返り、(ⅰ)聞こえ(ⅱ)給ふ

兵部卿宮)年ふともかはらじものを小夜衣ふかくもおもひそめし色をば

(注8)夜半の御供の人々、四位五位六位随身めしつぎ舎人とねりまでも、清らを尽くし、物の色さまなどもなべてならぬを、いかめしくし給へる事」とめであひたるに、かかる御使ひのしげさを、なほ、おぼし捨つまじき心にや」と、憎みあひたり。

山里の御返り事には、

山里の姫君)ふかかりし色とはいかが頼むべきあさくもそめし小夜の衣を

とばかり、ひきもつくろはず書き給へるうつくしさは、これにまさる人あらじと、いくたび見るともうち置かれ給はず。

重ねもはてぬ小夜衣の浅さを恨み給へるも、ことわりや、心苦しくて、(注9)今朝の文は、さしもいそがれ給はぬに、(注10)大宮より、今まで奉り給はず」とて、あながち(ⅲ)聞こえ(ⅳ)給へば、心ならず、

兵部卿宮)ほどもなく明けぬる夜半のつらさをもおなじ心に君はおもはじ

大殿には、今朝の文遅きを、心もとなくおぼしめすに、待ち見給へる心には、めづらしく、なによりも、御手のうつくしさ」と、さし集ひて、めであへり。

姫君に、御返り事」とすすめ聞こゆれど、御手のうつくしさに、いかが聞こえむ、とおぼしめせば、聞きも入れ給はねば、母上、関白の姫君の母)身のうさをおもひしらるるあかつきは鳥のねともにねぞなかれぬる

とばかり書き給ひて、ひき包みて参らせ給へり。

御返り事御覧ずるに、大人しき書きざま、母のなめりと、なかなか心劣りせんよりは心にくう、とおぼしけり。

注) 1姫君 ── 関白の姫君。 2かの寂しき軒端にながむらん有り様 ── 山里の姫君の様子を指す。 3近き仲のあはれはこよなく忍ぶ所まさる ── 親密な男女の仲では人目をはばかる関係の方が愛情がずっとまさる、という道理を言っている。 4人々 ── 関白の姫君に仕える女房たち。 5行かぬにしるかりし気色のらうたげさ ── 逢わなくてもはっきりわかったかわいらしい様子。 6小夜衣 ── 夜着。 7見給ふところには ── 兵部卿宮の手紙をご覧になる山里の姫君の方では。 8夜半の御供の人々 ── 兵部卿宮が、まだ夜が明けないうちに関白の姫君のもとから自邸に帰宅した際のお供の人々。 9今朝の文 ── 一夜を明かして別れた直後に、関白の姫君に送るべき手紙。 10大宮 ── 兵部卿宮の母。

〔人物関係図〕
問一
2
2
2
2
波線部(ⅰ)(ⅳ)の敬語は、だれに対する敬意を表しているのか。次のうちからそれぞれ一つずつ選び、符号で答えよ。同じ符号を二度以上選んでもよい。)
  • 兵部卿
  • 関白の姫君
  • 山里の姫君
  • 関白大殿)
  • 大宮兵部卿宮の母)
(ⅰ)
(ⅱ)
(ⅲ)
(ⅳ)
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